きんちゃんの日本百名山→尾瀬

尾瀬
日  時 2011年7月22日(金)〜7月25日(月)
山  名 至仏山(しぶつさん)2228m
燧岳(ひうちだけ)2356m
山  域 群馬・福島
メンバー 29名

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コースタイム
月22日(金)
岸和田 22:00 = 阪和道・近畿道・第二京阪・名神・

7月23日(土)晴れのち曇り
中央道・上信越・関越道 = 沼田IC = 尾瀬高原 7:55 = 路線バス = 8:25 鳩待峠 8:37 − 10:25 小至仏山 10:40 − 11:20 至仏山 11:55 − 12:27 小至仏山 12:33 − 14:00 鳩待峠 14:25 − 15:10 山の鼻 16:05 − 17:50 弥四郎小屋(泊)

7月24日(日)晴れのち曇り
弥四郎小屋 6:00 − 7:55 沼尻 8:25 − 9:15 長蔵小屋 10:05 − 11:15 沼山峠 11:20 = 御池 14:40 = 15:30 桧枝岐・ますや旅館(泊)

7月25日(月)晴れ
桧枝岐(ますや旅館) 8:30 = 東北道・関越道・上信越・中央道・名神・第二京阪・近畿道・阪和道 = 21:00 岸和田

 昨年の富士登山バスツアーに続いて、今年も登山バスツアーを企画しました。行き先は、自然の宝庫「尾瀬」と日本の秘境「桧枝岐」温泉。
 「♪夏が来れば思い出す はるかなおぜ尾瀬 遠い空♪〜尾瀬は何度行ってもまた行きたくなる〜 そんな魅力のある尾瀬に行きませんか。」というキャッチフレーズで、かつらぎ山岳会の会員を中心に募集したところ、29人の参加を得ました。

 今回、山登りとしての尾瀬の難易度はそんなに高くはないので、参加者の体力的な面とか山登りの経験など特に注意もしませんでした。至仏山はまず問題はないとして、2日目の燧岳が難しいのであれば、燧岳に登らずに、大江湿原のニッコウキスゲ群落を見るコースも用意していました。
 しかし、その前に、「猿も木から落ちる」とでもいいましょうか、あの「山の申し子」であるS氏が、転倒、骨折するという事故が発生したのです・・・・・。

かつらぎ山岳会の貸切バス(尾瀬パークホテル)
 岸和田を金曜日の午後10時に出発。今回の貸切バスは、2階立3列トイレ付きです。夜行なので、3列の方が断然楽ちんです。
 バスの中では、参加者全員の自己紹介や、行程の確認などを行い、あとは缶ビールで乾杯!

尾瀬パークホテル
 翌朝、7時頃に尾瀬高原の尾瀬パークホテルに着きました。ここから鳩待峠に入るには、交通規制がかかり一般車は通行止めのため、路線バスに乗り換えて行きます。我々の貸切バスは明日までここに駐車し、運転手さんもここのホテルに泊まるとのことです。
 ちなみに今回のツアーには、H旅行社のY社長にも参加していただいています。Y社長は、仕事抜きで山登りに同行したいということで参加となったのですが、後に、Y社長のプロフェッショナルぶりが遺憾なく発揮される場面が出てこようとはこの時点では夢にも思いませんでした。

鳩待峠
 鳩待峠は、大勢の人で賑わっていました。
 当初は、鳩待峠から至仏山を経由して尾瀬ヶ原の山ノ鼻に行く予定だったのですが、現在、至仏山から山ノ鼻(東面登山道)間を「『下り』には利用しないというルールが環境省により設けられているのです。したがって、鳩待峠から至仏山に登る場合は、至仏山に登ったあと、また鳩待峠に帰ってこなければならないという状況になっています。
 鳩待峠には不用な荷物を預ける(有料)ことも出来ます。
 参加者中、M氏は至仏山には登らずに、尾瀬ヶ原から弥四郎小屋に直行するとのこと。今回は、学生時代からの宿題であった燧岳に全力を投入したいそうです。

鳩待峠を歩き出して約1時間、尾瀬ヶ原と燧岳が姿を現した
 鳩待峠を出発してしばらくは樹林帯の中を歩きます。夜行明けなので、ゆっくりゆっくりと歩きます。登山者もそんなに多くはなく、快適に歩けます。
 1時間ほどで展望の開けたところに出ました。右手に尾瀬ヶ原と燧岳が望めます。燧岳の左手奥に雲がかかっている山は会津駒ケ岳でしょうか。
 やはり山はこのように天気が良くて景色が見えるほうがいいですね。

写真タイム

小至仏山に向けて出発
 樹林帯を抜け出て、一歩一歩高度を上げていきます。
 標高に比べて樹林帯を抜け出るのが早いように思うのですが、至仏山は蛇紋岩という植物が育ちにくい岩で出来ているため、周辺の山に比べ森林限界が低い位置にあるのです。

小至仏山への急登
 小至仏山への登りが予想外にきつく、ちょっと時間がかかりました。

小至仏山から望む尾瀬ヶ原と燧岳
 ようやく小至仏山の頂上に着きました。尾瀬ヶ原の全容が望めます。今晩泊まる弥四郎小屋も燧岳の裾野に見えます。ここから見る燧岳の姿は、裾野が広く大きくて立派です。

至仏山を望む(小至仏山を過ぎたあたりで撮影)
 小至仏山から至仏山までは、そんなに距離はないのですが結構時間がかかりました。それというのも、先に記した蛇紋岩が非常にすべりやすいため、歩行が慎重になり、足も疲れます。
 小至仏山あたりから登山者の数がいっぺんに増えたような気がします。至仏山から下山してくる登山者に道を譲ったり譲られたり、バテてきたのか前をノロノロと歩き道を譲ってくれない登山者など、結構ストレスのたまる歩きになりました。

もう少しで至仏山頂上
 ようやく至仏山の頂上が見えてきました。

山の鼻への下山を禁止する看板
 至仏山から山の鼻への下り禁止の看板です。森林限界までは往復できると書いてあります。やはりすべりやすい蛇紋岩のため、特に下りでのスリップ事故が多いのだろうか。まあ、登山者の安全と植生保護のためには止むを得ない措置なのでしょう。

至仏山頂上
 全員揃ったところで記念撮影!缶ビールの箱を代用した手作りの横幕が写っていますが、これには訳があります。横幕の担当はシェフのEK氏だったのですが、すっかり忘れていたのです。幸い、バスの中で気がついたので、急遽、缶ビールの箱を利用してつくったのがこの写真に写っているものです。まったく、EK氏にはやられます。昨年の富士山では、ものすごく立派な横幕を作ってきたのに、バスの中に忘れてきたりして・・・・・。しかし、この手作りの横幕は、この後、弥四郎小屋と桧枝岐でも出番があり、大活躍でした。

至仏山頂上から正面に尾瀬ヶ原と燧岳
 至仏山の頂上で35分間休憩しましたが、人が多いのと、次の行程を考えるとあまりゆっくりしていられないので、鳩待峠に戻ります。
 蛇紋岩はツルツルとすべり、下りは特に気を使います。すべるので、足にもかなり負担がかかります。行き交う登山者も多く、道を譲ったり譲られたりと時間もかかり、結構疲れました。

 鳩待峠に戻ってきたのが午後2時。予定より30分遅れですが、まあ順調なペースといえます。鳩待峠は相変わらず大勢の人でごった返しています。
 簡単な食事とトイレ休憩を済ませ、山の鼻に向けて出発。山の鼻までは標高差200mの下りですが、実際歩くともっと標高差があるように感じました。この時間帯になると、尾瀬ヶ原から帰る人が続々と鳩待峠に登ってくるのに出会います。木道が2本あるので渋滞することはないのですが、山の鼻まで出会う登山者が途切れませんでした。

 山の鼻に午後3時10分到着。至仏山荘の食堂で軽く腹ごしらえをしながら後続組を待ちます。しかし、そのうちに来るだろうと思っていたのですが、なかなか来ません。どうなっているんだろうと思っていると、N氏が到着して冒頭で述べた事故の一報が入ったのです。ただ、この時点ではS氏が転んだという程度しか解らず、残りのメンバーが到着するのを待つしかありません。そうこうしているうちに、EK氏とFK氏が到着して事故の概要がある程度わかりました。

 それは、「S氏は、鳩待峠を出発して100mほど進んだところで転倒し、一旦は起き上がり歩こうと試みたが、足首を捻ったらしく、痛みがあり歩けない状態に陥った。そのためEK氏がS氏をおぶって鳩待峠に戻り、救急車を要請して、現在、Y社長が付き添ってくれている・・・。」というものです。

 概要は以上ですが、詳しい情報を知りたくてY社長と連絡を取ろうにも携帯電話は圏外のため使えず、これ以上の情報収集の手段はありません。
 骨折の可能性はあるにしても、とりあえずS氏のことはY社長にお任せするとして、弥四郎小屋まで行くことにしました。 

いよいよ尾瀬ヶ原に、期待が膨らむ
 S氏のことが心配ですが、尾瀬ヶ原は今回の山行のメインであり、期待が膨らみます。

燧岳と木道
 当初の思惑通り、午後4時を過ぎると尾瀬ヶ原にはほとんど人がいなくなります。静かな尾瀬ヶ原を貸し切り状態で満喫することができました。

写真を撮りながら
 写真を撮りながら、ワイワイガヤガヤと、尾瀬を満喫しながら進みます。

池塘と燧岳
 正面には燧岳のピラミダルな姿が・・・。池塘と燧岳が絵になります。

尾瀬ヶ原を歩く(バックは至仏山)
 振り返ると、至仏山が・・・。

池塘とヒツジ草
 池塘に浮かぶヒツジ草。コントラストがきれいです。

池塘と燧岳
 池塘と燧岳、このような景色が次から次へと現れ、嬉しくなってきます。まったく飽きません。
 やはり尾瀬は何度来てもまた来たくなる〜

尾瀬ヶ原のど真ん中を歩く
 牛首まで来ました。ちょうどこのあたりが尾瀬ヶ原の真ん中になります。あたり一面広大な湿原で、、視界の中には人工物など一切ありません。

燧岳を見ながら休憩(牛首)
 日中だとこの辺りは人でごった返していることと思いますが、午後4時30分を過ぎたこの時間帯ではご覧のとおり、我々の貸し切りです。

尾瀬ヶ原のど真ん中で休憩(牛首)
 尾瀬ヶ原のど真ん中で過ごす時間は、至福の一時です。

ニッコウキスゲの群落
 行く手左側にニッコウキスゲの群落が現れました。燧岳がだんだんと大きくなってきました。

ニッコウキスゲの群落と至仏山
 振り返ると、至仏山がだんだんと小さくなっていきます。

行く手に誰もいなくなり、しばらく尾瀬ヶ原を貸切状態に
 前後にちらほら歩いていた登山者が、気がつくと行く手に誰もいなくなりました。木道が弧を描いて延びていきます。尾瀬の象徴的な風景です。

竜宮小屋まで来ました
 ようやく竜宮小屋まできました。弥四郎小屋へは、竜宮小屋の左側を抜けていきます。

竜宮小屋を過ぎると、下田代十字路にある山小屋が姿を現します
 竜宮小屋を通過すると、下田代十字路にある山小屋が姿を現しました。弥四郎小屋は、その中の一番手前(尾瀬ヶ原より)にある小屋です。ここまで来ると、あと20分ほどで到着です。

小屋に近づくと、宿泊客が散策している姿が
 小屋に近づくと、宿泊客がサンダル履きで散策しています。ほっと一息です。山の鼻から1時間45分の行程でした。結構長かったなあ〜

弥四郎小屋(我々の部屋は、正面の2階、三角の屋根の部屋で尾瀬ヶ原が正面に見えます)
 弥四郎小屋に着くと、M氏が出迎えてくれました。M氏は、至仏山には登らず、鳩待峠から直接来たので、昼過ぎには到着していたのです。そして、部屋でくつろいでいると、Y社長からS氏の怪我の状態を知らせるFAXが小屋に入り、S氏が転倒して怪我をしたことなど何も知らないM氏は、わけがわからずにほんとうに心配されたそうです。

 FAXには、「S氏はやはり骨折していた。すでに病院を出て、今夜はバスの運転手さんの宿泊地である尾瀬パークホテルにY社長と泊まり、明日、桧枝岐までバスで移動し、我々と合流する。S氏の容態は、痛みもなく元気である。」と書かれていました。

部屋からの眺めはこんな感じです
 その後、Y社長から小屋に電話が入り、さらに詳しく事情を報告していただきました。また、尾瀬パークホテルの社長と弥四郎小屋の社長が、学校の先輩後輩の関係(パークホテルの社長が先輩)になり、そのため宿泊人数の変更などスムーズにやっていただき、ほんとうに助かりました。
 とにかく、S氏が元気であることがわかり、ほっとしました。Y社長のてきぱきとした対応のお蔭です。
 一段落ついてお風呂に入り、夕食をいただき、やれやれと一息ついていたら、新たな問題が発生しました・・・・・・

 女性参加者の数人から、「至仏山登山でかなり疲れ、足の痛みなどがあるので、燧岳に登る自信がない」と言い出したのです。
 私は、「ゆっくり登れば大丈夫」と一度は説得したのですが、他の会員から「S氏の事故を受けて自粛したほうがよいのでは」という声が上がり、一晩熟慮した結果、パーティを2分することを決断しました。 

弥四郎小屋出発前の記念撮影
 一夜明けて、朝食の時に私はパーティを2分することを発表しました。
 燧岳に登るコースと、燧岳に登らずに大江湿原のニッコウキスゲ群落を見るコースの2つです。大江湿原のニッコウキスゲ群落を見るコースは、燧岳に登らないので、体力的にはかなり楽です。
 燧岳のパーティは、EK氏とFK氏に任せることにして、私は一度燧岳に登っているので、大江湿原のパーティに付き添うことにしました。 

尾瀬沼
 大江湿原のニッコウキスゲ群落コースには、私を含めて6人のパーティになりました。
 尾瀬沼を訪れるのは、これで3回目になります。

沼尻休憩所
 沼尻休憩所は、たくさんの人で賑わっていました。

大江湿原のニッコウキスゲ
 大江湿原まで来ると、さらに人が増えます。

見渡す限りのニッコウキスゲの群落
 ニッコウキスゲが咲いている時期にくるのははじめてですが、雑誌の写真などを見るとすごいきれいなところだと思っていたのですが、現地に来て自分の目で見るとそんなに大したことはないなあと思いました。すでに最盛期の時期は過ぎているのかも知れませんが・・・。

ニッコウキスゲと燧岳
 ニッコウキスゲの向こうに燧ガ岳。

長蔵小屋
 長蔵小屋は相変わらず人でごった返しています。ここで、弥四郎小屋で作ってもらった弁当を食べました。

尾瀬沼と燧岳
 長蔵小屋の奥の方に行くと、尾瀬沼と燧岳のビューポイントがあります。燧岳を眺めていると、今頃みんな登っているんだろうなあ〜。湿原の散策もそれはそれでいいけれど、やはり山に登った達成感に比べると雲泥の差があると思いました。

木道とニッコウキスゲ
 長蔵小屋を後にして、沼山峠に向けて出発です。
 黒い雲が出てきて雨に降られるのかなと心配しましたが、天気は最後までもちました。

振り返ると、ニッコウキスゲの先に尾瀬沼が
 尾瀬沼とニッコウキスゲ、絵になります。これもプロが撮ると、まったく違った美しい写真になるのでしょうか。

ますや旅館出発前の記念撮影
 御池で2時間余り燧ケ岳パーティを待ちました。待っている間は、無事、下山してくるのか気がかりでなりません。EK氏とFK氏がついているので何事もないと思いますが、実際みんなの顔を見るまでは心配でした。午後2時過ぎ、みんなが笑顔で下山してきたのを見たときは、嬉しかったなあ。
 
 桧枝岐のますや旅館では、S氏が待っていました。約24時間ぶりの再会です。元気な姿を見て、ほっとしました。嬉しかったです。S氏と再会するまでの24時間はほんとうに長く感じました。

 とにかく全員の元気な姿が揃ったことで、ますや旅館での打上が大いに盛り上がったことはいうまでもありません。

 昨年の富士山に続いての尾瀬登山。たくさんの仲間と一緒に登ると、ワイワイガヤガヤと楽しい半面、今回のような事故が発生した場合の対処の仕方について、考えさせられることが多くありました・・・・・
 ここからは、燧岳パーティが撮影した写真です。これは、燧岳の頂上直下だと思います。
 燧岳の頂上です。
 上と下は、熊沢田代の湿原。
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