きんちゃんの日本百名山富士山

富士山
日  時 2010年8月2日(月)
山  名 富士(ふじさん)3776m
山  域 静岡・山梨
メンバー 27名

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コースタイム
月1日(日)曇り
岸和田 7:00 = 阪和道・近畿道・名神高速・中央道 = 11:10 恵那峡SA 11:50 = 富士スバルライン = 16:10 富士スバルライン五合目・雲上閣(夕食) 17:20 − 19:40 富士一館(仮眠)
8月2日(月)曇りのち晴れ
富士一館 0:00 − 4:00 八合目元祖室 4:03 − 5:00 久須志神社 5:40 − 7:05 剣ヶ峰 7:08 − 7:15 山頂郵便局 8:30 −9:00 山口屋前下山口 9:05 − 9:37 下江戸屋分岐 10:00 − 11:20 七合目公衆トイレ 11:25 − 12:50 五合目 13:30 = 富士スバルライン = 14:20 河口湖温泉寺(昼食) 15:30 = 中央道・名神高速・近畿道・阪和道 = 22:00 岸和田

 かつらぎ山岳会で富士登山ツアーを企画しました。
 「なんといっても日本一の富士山。日本人なら誰しも一度は登りたいんちゃうか。そら、募集かけたら申込が殺到して抽選になるかも・・・。」 いろんな憶測が飛び交う中、旅行社にバスと山小屋等の手配を頼み、いざ募集をかけると参加申込は予想に反して少なく、結局、参加者は27名にとどまりました。
 富士山は登りたいけど、「体力的に不安」「登山靴や雨具などの装備をそろえるのが大変」といった理由であきらめた人もいました。
 たくさんの人が登る富士山ですが、やはり標高3776mとなれば、気象条件も厳しく、登るにはそれなりの準備が必要です。みなさん、インターネットなどでそのあたりの情報を調べた上での判断だと思います。
 そこで、主催者としても安全面に万全を期すため、持ち物など詳細な装備メモを作成して全員に配布しました。

かつらぎ山岳会の貸切バス
 当日は、午前7時に岸和田を出発です。バスは名神高速から中央高速に入り、富士スバルライン5合目を目指して快調に走ります。
 バスの中では、初対面の方もいたので、自己紹介などをしながらコミュニケーションを図りました。今回の参加者の最年少は16歳、最年長は65歳で、幅広い年齢層です。

五合目・雲上閣の夕食
 バスは、16時10分、ほぼ予定どおりスバルライン5合目の雲上閣に到着しました。人が多くて圧倒されます。バスもひっきりなしにやってきます。
 雲上閣で夕食をとるのですが、はっきりいってあまり美味しくなかったです。ただ、食べておかなければバテるので全部食べましたが・・・。

富士スバルライン五合目の賑わい
 富士登山のルートは4つあります。この富士スバルライン5合目のほかに、須走口、御殿場口、富士宮口です。この中で、最もよく登られているのが、スバルライン5合目からのルートです。旅行社のツアーは、ほとんどがこのルートで登られていると思います。
 今回、このツアーを企画するにあたり、頭を悩ましたのが、どのルートでどんな登り方をするかです。問題となったのは、渋滞と、劣悪な山小屋の環境です。この問題を避けるため、昼間に日帰りで登ることを考えましたが、そうすると、夜行での移動、あるいは前泊しなければなりません。夜行の場合、体力的にしんどいし、前泊で2泊するとなれば参加者が減ることが予想されます。そもそも富士山の日帰りは、歩行時間が長くなるので初心者には無理があり、高山病のリスクも高くなります。
 せっかく富士山に登るなら、ご来光を見て、お鉢巡りもしたいという思いもあります。はじめて山登りをされる方もいるので、途中でリタイヤした場合のことも考えておかなければなりません。
 これらもろもろのことを考えると、スバルライン5合目からのルートが、山小屋も多くて安全であるということになりました。渋滞については、出発日を日曜日とすることで、少しはましになることを期待しました。また、山小屋は、今年リニューアルして富士山で一番新しい山小屋に生まれ変わった富士一館の予約がとれたので、これも期待したいところです。

9合目付近
 富士山に登るコツは、なんといっても最初はスローペースで歩くことです。ゆっくりゆっくりを心がけて歩きます。ハイペースだと、高山病で頭が痛くなったり、吐き気がしたり、バテてしまいます。
 ゆっくり登って、富士一館には19時40分に着きました。5合目から2時間20分です。
 富士一館は、リニューアルされ、確かに施設は新しくなっていましたが、暑くて狭くて、とても快適とは言えませんでした。寝具は布団ではなく寝袋です。寝袋は新しかったのですが、寝袋を置いてある間隔が狭いので、隣の人と肩が当り、非常に寝苦しい思いをしました。そんなに混雑しているわけでもなく、空いているスペースもあったので、富士山という山小屋の特殊性(夜間登山)もあるのでしょうが、もう少し柔軟性をもった対応をしていただけたらと思いました。
 とにかく、横になっているだけでも疲れはとれるので、寝苦しい中、4時間じっとがまんしていました。

吉田口頂上直下
 富士一館ではただ4時間じっと横になっていただけでした。従業員からなんらかのサービスを受けたという印象はまったくありません。接客にも不慣れな様子でした。これでも通常の宿泊料金を取られるのですからなにか釈然としません。
 予定どおり午前0時に富士一館を出発です。昨日の夕方よりも登山者はかなり増えている感じがします。出発時は、まとまって歩いていましたが、途中からバラバラになりました。暗いのでわからないということもあり、周囲を見回しても我が会のメンバーは見当たりません。通過する山小屋の明るいところでは見かけたりしますが、登山道になるとまた一人になります。
 8合目付近まで登ると、寒くなってきたのでフリースを重ね着しました。高度が上がるにつれて気温がかなり下がっているようです。8合目で須走口の登山道と合流するため、さらに登山者が増えてノロノロとしか進まなくなり、9合目付近でとうとう夜が明けてしまいました。ご来光は、曇り空のため残念ながら望めませんでした。見上げると、頂上まで登山者が連なっています。すごい渋滞です。パトロールの人がいたので聞くと、「今日はまだましだ。昨日の日曜日はもっとすごかった。」と言っていたので、月曜日にして良かったと思いました。 

混雑する久須志神社付近
 5時00分、予定より30分遅れで山頂の一角である久須志神社に着きました。付近はすごい混雑ぶりです。


景色を眺める登山者と雲
 北東方向に真っ白い雲が湧き上がっていました。空の青色とのコントラストが美しく、思わず写真を撮りました。雲がこのような角度で見えることからも、今、自分が日本で一番高い山の頂上にいることを実感出来ます。
 後続の会員が到着し、全員が揃っているのを確認して、5時40分、反時計回りでお鉢巡りに出発です。

お針巡り(反時計回り)に出発〜正面は白山岳
 富士山の山頂部分を一周することをお鉢巡り(おはちめぐり)といいます。
 火口の直径は久須志神社から剣ヶ峰まで780m、火口の深さは200m以上あります。歩行距離は3キロ。平均的な脚力で1時間半ぐらいかかります。

影富士(雷岩から見る)
 天気がだんだんと良くなり、雷岩付近で影富士が見えました。
 視界がきけば遠くにアルプスの山なみが見えるのですが、今日は雲が多くて見えません。

お鉢巡りを行き交う登山者〜正面は剣ヶ峰
 荒涼とした道を剣ヶ峰目指して歩きます。


剣ヶ峰の標柱で写真の順番待ちをする登山者
 剣ヶ峰には、日本最高所富士山剣ヶ峰の石柱があり、写真を撮るためたくさんの方が順番待ちで並んでいました。私も最初は並んで待っていましたが、一向に前に進まない様子を見て、時間がないこともあって石柱での写真はあきらめました。
 石柱での写真はあきらめたのですが、当初の計画ではこの剣ヶ峰で、記念撮影のために用意した横幕を入れて全員で記念写真を撮る予定でした。しかし、肝心の横幕をバスの中に忘れてきてしまったのです。立派な横幕をK氏が作ってくれたのですが、バスの中に置いてきてしまったのです。この横幕は、下山後にでも活用しようと思ったのですが、とうとう最後まで出番はありませんでした。

剣ヶ峰から浅間大社奥宮・山頂郵便局を望む
 剣ヶ峰からは浅間大社奥宮、山頂郵便局、頂上富士館の建物が見えます。

この角度から見ると荒々しい剣ヶ峰
 剣ヶ峰には、かつて70年以上にわたって気象観測を続けてきた気象庁富士山測候所の庁舎群が絶壁にへばりつくようにして建っています。
 測候所には、日本に接近する台風を観測することを目的としてドーム形レーダー(通称:富士山レーダー)が設置されていましたが、気象衛星の発達や、長野レーダー・静岡レーダーの設置などにより、富士山でのレーダー観測は必要性を失った為、1999年に、レーダー観測が廃止され、現在、レーダードームは撤去されています。
 さらに観測装置が発達したことにより、現地での人手による観測の必要性は失われ、2004年に自動観測装置が設置され、現在は無人施設となっています。

ドームの撤去された富士山測候所

富士山頂郵便局
 富士山頂郵便局は、夏の期間だけ開設しています。平成22年の開設期間は、7月10日〜8月22日です。
 山頂郵便局は、浅間大社奥宮の社務所内に設置されており、局の中は狭く3〜4人程度しか入れません。オリジナル商品として、富士山頂郵便局セット、登山証明書、富士山登頂証などがあります。ほかにも他の山小屋では売られていない物があるので、ちょっとした珍しい土産になります。また、郵便ポストがあり、投函すれば、もれなく山頂局の消印がつきます。郵送料は下界と同じです。
 私は、家で書いて持参した暑中見舞いに、山頂郵便局のスタンプを押して、自分と友人宛に投函しました。暑中見舞いは4〜5日で家に届き、その時は感動したものです。
 山頂郵便局で購入した登山証明書です。

富士館、浅間大社奥宮付近の賑わい
 頂上富士館の前で、遅くなりましたが朝食をとることにしました。最初の計画では、ここでハムなどを焼いて祝杯を挙げる予定でしたが、渋滞等でかなり時間が押していたため、ハムを焼くのはあきらめて簡単に祝杯を挙げました。

浅間大社奥宮で記念撮影
 浅間大社奥宮の鳥居の前で記念撮影です。全員が登頂し、しかもお鉢巡りも出来て大満足です。横幕があればもっとよかったのですが・・・。

職場のM君と
 今回、職場のM君も参加しました。M君は、山登りの経験がないので心配しましたが、若さのパワーで最後まで元気でした。

剣ヶ峰と火口
 火口はこのような感じです。大きすぎて全景は入りません。

吉田口下山道分岐の山口屋前〜左奥の山は白山岳
 山口屋前が富士スバルライン5合目への下山道分岐となるため、ここでお鉢巡りは終わりです。スバルライン五合目のルートは、8合目からは上りと下りがそれぞれ専用道になって分かれており、したがって分岐点も少し離れています。上りの登山道が合流する久須志神社は、山口屋から100mほど奥に行ったところにあります。

吉田口下山道〜延々とジグザグの道が続く
 下山道で注意しなければならないのは、本八合目からさらに10分程下った八合目「下江戸屋分岐」で下山ルートが分かれおり、まちがって「須走五合目」の方へ下りないことです。富士スバルライン5合目に行く道は、下江戸屋を左に行くのが正解です。

砂埃を防止するため、マスクをして下山
 下江戸屋分岐で、全員がスバルライン5合目のルートに入るのを見届けます。
 この時に思ったのですが、今回、せっかくのチャーターバスなので、下山口を砂走口にしてもよかったたのかなと。そうすれば変化があり、また、砂走りの方が短い時間で下りてこられるというメリットもある。さらに、砂走口から登ってスバルライン5合目に下山する逆のコースもあったのかなと。様々なことを考えたのですが、やはりネックとなったのは途中でリタイヤされた方がいた場合どうするかでした。

 お鉢巡りをしていた頃はあんなに天気が良かったのが、7合目を過ぎたあたりで小雨がパラついてきました。なんとか5合目まで持ちましたが、全員下山して予定より2時間30分遅れでバスが出発するのを待っていたかのようにバケツをひっくり返したかのような土砂降りになりました。ほんとうにラッキーでした。

 富士登山ツアーを企画したときは、ほんとうに全員が登頂出来るとは思っていませんでした。今回、参加者全員が頂上を踏み、しかもお鉢巡りを達成されたことは、主催者としてほんとうに嬉しく思います。これも、参加された皆さんが、それぞれ富士登山を研究され、入念な準備をされた賜物だと感謝します。
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