きんちゃんの日本百名山日本ニ百名山→奥大日岳

奥大日岳
日  時 2008年8月2日(土)〜4日(月)
山  名 奥大日岳(おくだいにちだけ)2611m
山  域 富山
メンバー 4人

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コースタイム
8月2日(土)晴れ
岸和田 前日23:00 = 堺泉北道路・堺IC = 阪和・近畿自動車道 = 吹田JCT = 名神高速道路 =米原JCT = 北陸自動車道 = 富山IC = 4:30 立山駅 5:45 = タクシー = 6:00 称名の滝駐車場 6:15 − 6:30 大日岳登山道入口(称名の滝見学) 6:57 − 8:18 牛首 8:18 − 9:17 大日平山荘 10:25 − 11:18 水場 12:00 − 14:02 大日小屋 14:19 − 14:35 大日岳 14:45 − 14:57 大日小屋(泊)

 かつらぎ山岳会で集中登山をやることになった。集中場所は、立山の内蔵助山荘。私はS氏、K氏、N氏との4人でパーティを組み、奥大日岳から内蔵助山荘を目指すことにした。集中登山には、ほかにO氏・H氏・M氏・I氏の4人パーティ、K氏単独、H氏単独の、計10人が参加した。
 今回の山行では、観光地化された立山周辺の山域ということで、あまり期待はしていなかったが、天気が良かったということもあるが、大日平や大日岳から奥大日岳にかけての素晴らしい展望の縦走に大満足のいくものであった。

立山駅
 岸和田を前日の23時に出発、名神・北陸自動車道を快調に走り、立山駅に4時30分に着く。称名滝行きのバスの始発は7時50分からしかなく、これでは行程が組みにくいのでタクシーを予約した。岸和田から富山までの移動時間に余裕をみて6時に予約したのだが、1時間半も早く着いてしまった。これは、K氏の北陸自動車道高速走法によるところが大きい。このお蔭で、ゆっくりと朝食をとり、出発の準備を整えることが出来た。
 駅で水筒に水を補給し、タクシー会社に早く来てくれるよう電話する。タクシーは15分早く来てくれて、5時45分に駅を出発した。

称名の滝
 立山駅から称名の滝駐車場までタクシーで15分。途中ゲート(6時から開通)があって少し待たされたが、予定より早めにゲートを開けてくれたので、6時に称名の滝駐車場に着くことが出来た。
 駐車場には水洗トイレもある。駐車場から15分歩くと大日岳登山道の入口に着いた。ここにザックを置いて、カメラだけ持って称名の滝を見に行く。称名の滝はすごい水量である。かなり距離が離れているのに、カメラが水しぶきで濡れる。落下する水の勢いで風が巻き上がり、帽子が飛ばされそうになる。
 称名の滝は四段に分かれ、全落差は350mを有し、また、滝壺は直径60m、深さは6mあると案内板に書いてあった。

大日平から薬師岳を望む
 登山口から急坂の苦しい登りをこなして2ピッチで牛首に着く。今回の山行は、トレーニング等準備なしのぶっつけ本番で望み、かなり不安があったが、難関と予測していたこの登りを無難にこなせたことでほっとする。
 牛首は狭い稜線上にあるため、休憩せずに通過、そこから少し登ると傾斜が緩くなり木道が現れた。木道を少し行くと右手に薬師岳が姿を現す。その右手に鍬崎山も見える。

大日平山荘
 大日平山荘に9時17分着。少し早いが、大日岳の登りを控えているためここで昼食にする。カップラーメンとおにぎりを食べ、仕上げにコーヒーを飲んで満腹になった。居心地の良い小屋で、1時間8分も長居をしてしまった。

大日平山荘から大日岳を望む
 大日平山荘から本日第2の難関である大日岳の登りを眺める。登山道は、真ん中の谷筋をほぼ真っ直ぐ突き上げるようについていて、標高差は約800mある。

大日小屋から最初の水場
 大日平山荘を出発してしばらくは木道を歩く。雰囲気的には栂海新道の黒岩平に似ているなと思った。木道が終わると急坂の登りが始まる。体が重く、ピッチが上がらない。ヘロヘロになって最初の水場に到着。K氏は山道も高速走法(私が遅いだけ?)で、ついていけない。
 今回の我がパーティの隊列は、だいたいK氏が先頭を歩き、いつも先行逃げ切りですぐに先にいってしまって見えなくなる。二番手に私がマイペースで続く。私の後にS氏、ラストにN氏が続くのだが、N氏はだいたいS氏よりかなり遅れて次のポイントに到着する。N氏がなぜいつもそんなに遅れるのか、単にのんびり歩いているだけなのか?K氏に言わせると「何してるんや」となる。また、S氏はだいたい私の後ろをピタッとつけてくるので、いつも先にどうぞというのだが「私の歩きを検証するのでええわ」と、わけのわからないことをいい、先に歩こうとしない。

 水場からは鍬崎山が正面に見えて気持ちが良い。ここまでくればという安心感からか、またまた大休止となった。これがいけなかったのか、ほんとうに体が動かなくなって、水場からはちょっと登っては休憩というパターンになってしまい、なかなか大日小屋にたどりつけない。結局、水場から大日小屋まで2時間もかかってしまった。

大日小屋から大日岳の稜線
 K氏は散々待って寒いのでセーターを着ていた。大日平山荘からノンストップで登り、1時間以上前に着いたらしい。K氏は、遅いので心配したという。水場でゆっくりしすぎてペースダウンとなったことなどK氏の顔を見ると言えないので、N氏がバテたことにして「N氏が遅いから待っていたんや」とK氏に説明した。
 それにしても、この大日小屋への登りは、大いに反省すべき点があります。

大日岳頂上
 小屋に荷物を置いて、カメラだけ持って大日岳を登りに行く。小屋から16分で頂上に着いた。あいにくガスが出て展望は良くない。私は、この大日岳周辺は静かな山域かなと思っていたが、そんなことはなく大勢の登山者で賑わっていた。

大日小屋(大日岳から小屋に戻る途中で撮影)
 大日小屋は、電話で予約した時に、本日は混雑が予想されるのでやめておいたほうが良いと言われた経過がある。そこで、初日は手前の大日平山荘できざむことや逆コースの可能性などいろいろ検討したが、どれもうまくいかず、結局、混雑を覚悟の上で大日小屋に突撃するということになった。
 大日平山荘で、昨晩大日小屋に泊まった人がいたので情報を聞くと、混雑時は別棟のプレハブ小屋も使用するようで、そこは案外空いているとのことであった。この情報を得た我々は、宿泊受付の時にプレハブを希望してプレハブ棟に入れたのだが、この日はそれも通用せず、プレハブ棟も超満員になった。布団1枚に3人くらいのスペースで、寝返りを打つのも窮屈である。まあ、覚悟の上で来ているので、それもしかたがないか。
 今回の山行は2泊とも素泊まりで、食事は自炊である。混雑する小屋の中では自炊する場所などなく、外で食事を済ませ、17時には早々と寝床についた。
 夜中に強い風が吹く。風の音がゴーゴーとうるさく、また、プレハブごと飛ばされるのではないかと思うほど揺れるため、一晩中寝られなかった。
8月3日(日)晴れ
大日小屋 5:20 − 7:10 奥大日岳 7:27 − 7:56 カガミ谷乗越 8:12 − 8:55 新室堂乗越 9:10 − 10:30 剣御前小舎 10:45 − 11:15 剣御前 11:30 − 11:50 剣御前小舎 12:47 − 13:22 別山 13:22 − 13:33 別山北峰 13:52 − 14:00 別山 14:10 − 14:50 内蔵助山荘(泊) 

シルエットの剣岳
 朝、4時に起床。あんなに吹いていた風はやんで、星が出ていた。
 小屋の外でレトルトのおかゆを作って朝食とする。

朝の出発準備風景(大日小屋)
 5時出発を目標にしていたが、写真を撮ったり、トイレの順番を待っていたりしている間にあっという間に時間が過ぎて、20分遅れの5時20分出発となる。小屋前の広場は、ツアーの団体さんが散らばってストレッチ体操をするためにぎやかである。

中大日岳付近の快適な稜線を行く
 中大日岳に登ると、立山のパノラマがドーンと現れた。来てよかったと思う瞬間だ。気持ちのよい稜線を歩き、奥大日岳を目指す。

朝もやの弥陀ヶ原と薬師岳
 七福園は、弥陀ヶ原の絶好の展望台である。この時間帯はまだバスが走っていないので静かだ。

室堂へと曲がりくねった道が続く
 立山道路の曲がりくねった道が室堂に続く。この角度から見ると、弥陀ヶ原の地形がよくわかる。台地状で池塘が多く点在する様は、苗場山に似ていると思った。

奥大日岳へと続く稜線
 奥大日岳へと続く稜線は、なだらかな景色を楽しみながらの稜線漫歩と思っていたが、ご覧のとおりアップダウンがあり、特に奥大日岳は一つの独立峰の風格をなしている。

奥大日岳から大日岳を振り返る
 奥大日岳の登りをなんとか1ピッチで登りきった。途中からたくさんの登山者と行き交うようになり、このコースの人気ぶりをあらためて実感する。稜線に日があたり、緑が美しい。

薬師岳と弥陀ヶ原
 弥陀ヶ原からエンジン音が聞こえ、始発のバスが上ってきたのがわかる。観光地、立山の一日が始まる合図のようである。

奥大日岳頂上
 奥大日岳頂上に到着。そんなに広くはないが、たくさんの登山者で賑わっていた。バックに見える山は、猫又山、その奥に毛勝山が望まれる。

剣岳(奥大日岳より)
 このコースは、剣岳の展望も魅力の一つである。

弥陀ヶ原と鍬崎山
 この角度から見ると、弥陀ヶ原が台地状になっているのがよくわかる。V字状なった沢は称名廊下と呼ばれ、その先に称名滝がある。

カガミ谷乗越より残雪の模様が美しい立山
 だんだんと立山に近づくにつれ、雷鳥沢や室堂に日があたりだした。この残雪期に見える緑と白のコントラストが、立山の特徴であり私は好きである。

新室堂乗越から見る剣御前
 剣御前小舎への登りを前に休憩を一本入れる。あいかわらず人が多い。剣御前小舎への登りは、ご覧のようにかなりのもので、気合を入れないと昨日の二の舞になる恐れがある。ジグザグの急坂を休まずゆっくりと登る。途中から雷鳥坂ルートを登る登山者が見えるようになる。なんとか2ピッチで剣御前小屋に着く。これで、本日の最大の難所は終わりである。

剣御前小舎と立山、その右に浄土山
 剣御前小舎前の広場は、立山からの縦走や室堂から剣岳に向かう要所となっているため、ほんとうに人が多い。大きなバイオトイレもある。水は有料であるが分けてもらえる。
 ザックをデポして、カメラだけ持って剣御前を登りに行く。剣御前は、山岳標高ベスト100の70番目に位置する山である。S氏は小屋で休憩しているというので、K氏、N氏と私の3人で登りに行く。

剣御前から奥大日岳方面を望む
 剣御前への登山道は、あまり歩かれていないようで、ハイマツに覆われて登山道を見失うところが一箇所あった。そこで道を探したりして時間がかかり、行きは30分かかったが、帰りは20分で剣御前小舎に帰ってきた。
 剣御前から見る奥大日岳は、大きくどっしりとしている。

剣御前頂上
 剣御前頂上は、奥大日岳頂上と違って誰もいない。一応、ここからも剣岳に行けるのだが、この先は荒れていて通行困難な状況となっているため、普通はこの下についている2本の登山道を利用しているようである。

剣御前から剣沢を俯瞰する バックは後立山連峰
 剣御前頂上から剣沢小屋と剣沢キャンプ場を俯瞰する。

剣御前からの剣岳
 剣御前頂上からの剣岳。剣岳の眺めがよいのは別山北峰がよく知られているが、剣御前から見る剣岳もなかなかのものであった。単に標高100のピークハントで登りにきたようなものだが、この迫力ある剣岳の姿に感動した。
 剣御前小舎に戻ると、単独行のH氏と合流する。H氏は、雷鳥坂を登って来られ、昨日は雷鳥沢で泊まったそうだ。
 剣御前小屋で昼食とする。私は、昨日に続き今日もカップラーメンである。6本の登山道がここに集中しているため、人が絶えず行き来して落ち着かない。

別山から北峰を望む
 別山の頂上は広い。北峰はすぐそこで、片道約10分で行ける。

別山頂上風景
 別山頂上には神社が建っている。

別山北峰から見る剣岳
 少し雲が出てきたのが残念だが、この写真を見ると、別山北峰からの剣岳は、やはりベストアングルなのかもしれないと思った。剣御前も良かったが、雪渓がポイントとなって、こちらの方がより剣岳の特徴を現している。
 この剣岳の姿を見ると、もう一度剣岳に登りたいと思った。剣岳に登ったのは、もう34年も前のことであるが、初めてのアルプス山行で、しかもテント泊であったため、今でも強烈な印象として残っている。

内蔵助山荘前で集中登山記念撮影(バックは別山)
 内蔵助山荘に着くと、すでに単独のK氏が先着していた。昨日は立山駅周辺に泊まり、今朝、室堂から一ノ越経由で来たそうだ。O氏パーティは午後4時頃到着する。O氏パーティは、本日早朝に岸和田を車で出発して、K氏と同じ一ノ越から上ってきたそうだ。
 とにかく、10人全員が内蔵助山荘に集中できて良かった。別山をバックに記念写真を撮る。剣岳が別山に隠れて見えないのが残念だ。

内蔵助山荘と真砂岳
 内蔵助山荘は、ほんとうに居心地のよい小屋であった。大部屋を我々専用に使わせてくれて、ゆったりとしたスペースに感激する。昨日の大日小屋に比べると天国のようである。トイレも清潔で、小屋の人たちも愛想がよい。N氏は「自炊なのに畳の部屋で食事をさせてくれるなんて、こんなええ小屋はじめてです」と感動していた。

富士ノ折立(内蔵助山荘より)
 内蔵助山荘から富士ノ折立を眺めると、11年前のことが思い出される。11年前の9月に立山の3つのピーク(雄山、大汝山、富士ノ折立)を登る山行を実行したが、富士ノ折立の分岐を見落として登らずに下山してしまったのである。天気が悪かったこともあるが、その時はかなりショックであった。すぐにリベンジをと思ったが、あっという間に11年が過ぎ去ってしまった・・・。
 いよいよ明日、念願の富士ノ折立に登る時が来るのだ。
8月4日(月)雨
内蔵助山荘 7:35 − 7:45 真砂岳 7:45 − 8:30 富士ノ折立 8:35 − 8:50 大汝山 8:55 − 9:10 雄山 10:05 − 10:31 一ノ越山荘 10:31 − 11:10 室堂 = 立山高原バス = 12:20 美女平 = 立山ケーブル = 立山駅 = ウェルサンピア立山(入浴) = 富山(昼食) = 富山IC = 北陸自動車道 = 米原JCT = 名神高速道路 = 吹田JCT = 近畿自動車道 = 堺IC・堺泉北道路 = 21:00 岸和田

大汝山のてっぺんに立つ
 明日は雨との天気予報があたり、夜半から雨となった。
 朝食後、まずK氏が出発していった。最短コースで室堂に下山するようだ。その後、O氏パーティが別山方向に出発する。H氏は、別に急ぐ山行でもないので、天気が回復するまで小屋で沈殿するという。
 O氏パーティの今日の計画は、剣岳ピストン組と奥大日岳ピストン組の二手に分かれて行動すると言っていたが、果たしてこの雨でどうなるか?
 さて、そろそろ私らも出発しようと登山靴を履いたとたんに雷がなってきたので、しばらく小屋の土間で待機する。K氏は、すでに雷鳥沢に下山していると思うが、O氏パーティは別山付近でまともに雷に遭遇していると思われ、非常に心配である。
 小一時間ほど待機し、ようやく雷が小康状態になってきたので出発する。雨は断続的に降り続き、たまにゴロゴロと鳴ってビビラされる。真砂岳の稜線に上ると、雷はおさまったが、横殴りの雨となり、富士ノ折立の登りは厳しいものとなった。
 真砂岳から45分かかって富士ノ折立の分岐に到着した。分岐には道標があったが、前回はこの道標を見落としてしまったようだ。前回も今日のように雨で見通しが悪かった。どうも立山とは天気の相性が悪いようだ。S氏も何度か立山に登っているが、全て雨だったらしい。
 富士ノ折立の頂上は、分岐からすぐのところで狭い。雨が激しいので、写真を撮れなかったのが残念だ。

雄山神社の前で
 大汝山から雄山、一ノ越にかけてずっと雨の中を歩く。一ノ越あたりから、この雨の中を続々と登山者が登ってくるのに出会う。中学生の林間学校と思われる集団も多く出会う。ほんとうに人が多い。
 室堂バスターミナルはさらに人が多く、都会の地下街を歩いているようだ。これはたまらんと、速攻でバスの乗車券を購入し、室堂から退散する。
 高度を下げていくうちに雨はやんで、立山駅に帰ってくると晴れていた。雨は山の上だけ降っていたようだ。
 帰路、立山駅近くのウェルサンピア立山で汗を流し、富山の回転寿司で打ち上げをする。
 O氏パーティは、雷雨のため予定を変更して下山し、我々のかなり前を走行していることがわかり、お互い無事を確認しほっとする。
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