きんちゃんの日本百名山→六甲全山縦走

2008 KOBE 六甲全山縦走大会
日  時 2008年11月23日(日)
山  名 六甲山(ろっこうさん)931m
摩耶山(まやさん)702m
山  域 六甲山地
メンバー 7名

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コースタイム
11月23日(日)晴れ
須磨浦公園 5:20 − 7:00 横尾山 7:00 − 8:45 高取山 8:45 − 9:40 鵯越駅前 9:45 − 11:00 菊水山(チェックポイント) 11:20 − 12:17 鍋蓋山 12:17 − 13:00 桜茶屋 13:10 − 14:50 摩耶山掬星台(チェックポイント) 15:00 − 17:10 六甲ガーデンテラス 17:10 − 18:10 東六甲分岐点(チェックポイント)18:10 − 22:00 宝塚

 須磨浦公園のスタート地点から宝塚ゴールまで56km、登る高さを足し合わせるとおよそ3000mにもなる六甲全山縦走大会に、かつらぎ山岳会から7名が参加した。
 56kmという距離を歩きとおせるかということで、事前に練習会を企画したが雨天のため中止となり、ぶっつけ本番の大会参加となってしまった。参加要項には「ぶっつけ本番は絶対やめてください」と書かれていたが、まあ、なんとかなるだろう。
 前日の午後8時に自宅を出て、電車で三宮駅まで行き、駅近くのホテルで泊まる。翌日は午前4時にホテルを出発、タクシーで須磨浦公園に移動する。4時半頃に須磨浦公園に着いたが、早くもかなりの人が並んでいた。急いで列の最後尾に並ぶと、それからも参加者が続々と現れ、あっという間に私たちの後ろにもかなり長い行列が出来ていた。

須磨浦公園スタート地点
 須磨浦公園スタートの受付開始は午前5時からであるが、私たちが受付を済ませ出発出来たのは午前5時20分になっていた。最初にスタートする人たちは、いったい何時頃から並んでいるのだろう?

栂尾山に登る階段前の渋滞
 5時20分に須磨浦公園をスタート、真っ暗な中、ヘッドランプを点けて鉢伏山に登る。今大会の参加者は約2千人で、それが一斉にスタートするものだから、行列をなして前進していく様は正月の初詣のようで、しかも結構ハイペースである。こうなっては流れに乗って歩くしかなく、私にとっては明らかにオーバーペースである。しばらく頑張って歩くが、暑くなってきて息もあがってきた。これはたまらんと、列を飛び出して、フリースを1枚脱ぐ。そうしている間にも、続々と参加者が通過していくので、なにか取り残されるような気分になり、早々に流れに戻る。
 鉢伏山から旗振山(はたふりやま)、鉄枴山(てっかいさん)と順調に進み、まだ寝静まっている高倉団地を通過して栂尾山(とがおやま)の400段の階段の前に来ると、本日最初の渋滞がはじまった。この渋滞は須磨アルプスの東山まで続いた。高速道路と同じで、ゴーストップの繰り返しが続き、かなりの時間ロスを生じる。ただ、渋滞の横を強引に抜いていくような人はほとんど見かけず、全般的にマナーは良いと思った。
 マナーの面で言えば、本大会は走ることは禁じられているにも関わらず、走っている人を数多く見かけたこと、また、ゴミのポイ捨てがあったのは残念である。 

栂尾山の階段から高倉団地と鉄枴山を振り返る

須磨アルプスを行く
 高倉団地を通過している頃から空が白み出し、横尾山まで来ると完全に夜が明けた。曇っているので、ご来光などは見られなかった。というよりも、人の流れについて行くのが精一杯で、景色や地図など見る余裕がなかった。この須磨アルプスでもゴーストップが繰り返され、かなり時間がかかる。

横尾の住宅街を歩く
 須磨アルプスから横尾の住宅街に下りると、道幅が広くなったためか人が少なくなりほっとする。しかし、相変わらずみなさんハイペースである。
 妙法寺小学校でトイレタイムとする。ここもすごい人で、トイレは順番待ちで並んでいる。
 高取山の登りにかかるとまた渋滞がはじまった。

高取神社の階段
 一気に高取山に登り、頂上はそのまま素通りし、その先の高取神社には寄ろうと思ったが、前の人につられてそのまま登山道を下るとこの階段の前に出た。どうも高取神社に寄った場合はこの階段を下りてくるようだ。ノドがかわいたので階段の前で水分補給する。汗をかなりかいていて、帽子のひさしから汗がポタポタと落ちる。この段階でこれだけ消耗するなんて、ペースが速いのが原因と思うが、果たしてこんな調子で完走出来るのだろうか。

月見茶屋
 高取神社の階段からすぐのところに月見茶屋があった。バナナ2本と500ccの飲み物を買った。バナナはその場で食べる。バナナの皮は月見茶屋が引き取ってくれた。

鵯越駅前
 鵯越(ひよどりごえ)駅前に午前9時40分着。駅近くの店でおにぎり弁当やバナナ、カップラーメン(お湯を入れてくれる)などが売られていた。私は、おにぎり弁当とバナナを買った。

菊水山まであと900m
 鵯越駅前を出発してすぐにまたノドが乾いてきた。登山道を少し外れてポットのお湯で生姜湯を作って飲んでいる間にH氏に抜かれてしまった。これで、かつらぎ山岳会の参加者では私が最後尾となった。
 鈴蘭台下水処理場を過ぎてしばらくいくと、いよいよ菊水山の登りがはじまると同時に、また渋滞がはじまった。ゴーストップの繰り返しで、リズムが合わず、ほんとうにしんどい。

菊水山のチェックポイント
 バテバテで第1チェックポイントの菊水山に到着。

多くの縦走者で賑わう菊水山頂上
 菊水山は眺めの良いところで、多くの人がそれぞれのスタイルで休憩していた。私もここでおにぎり弁当とバナナを食べる。

菊水山の展望台から高取山、須磨アルプス、鉄枴山を望む
 菊水山には展望台があって、今まで歩いてきた高取山から須磨アルプス方面の眺めが良い。
 天気が良いし、写真を撮ったりしてのんびりしようと思っていたら、大会スタッフの方が「全縦参加のみなさま、今から1時間後に赤鬼が出発します。赤鬼はここから出発するので元気一杯です。赤鬼に抜かれないように早めに出発してください。」とアナウンスするではないか。赤鬼とは、各チェックポイントの最終時刻に到着するような速さで「最後尾」と書いた赤いゼッケンをつけた係員のことで、赤鬼より遅れてチェックポイントについた場合は失格となる。
 えらいこっちゃ、まだまだ余裕があると思っていたが、わずか1時間の余裕しかないとは!赤鬼に抜かれては一大事である。1時間の貯金を確保するため、次のチェックポイントである摩耶山掬星台(まやさんきくせいだい)目指して出発する。掬星台チェックポイントの最終時刻は午後3時50分。今は午前11時20分なので4時間30分の余裕があり、標準コースタイムは約3時間なので大丈夫だとは思うが、今までの歩行ペースを勘案すると安全圏とは言えない。

大龍寺から紅葉の中を市ヶ原に向かう
 菊水山を出発してから赤鬼のことばかり気になって、余裕がなくなる。赤鬼から逃げるように歩く。菊水山から急坂を下って天王吊橋に、そして急坂を登り返して鍋蓋山へ。この鍋蓋山への登り返しが一番つらかった。とにかく前に進まなくてはという気持ちがあるので、鍋蓋山頂上は写真も撮らずに通過、大龍寺では豚汁を売っていたが、先を急ぐのでここも通過する。

市ヶ原
 市ヶ原では写真だけ撮り、その先の桜茶屋でトイレ休憩をとる。
 桜茶屋からいよいよ摩耶山の登りがはじまるが、体はかなり消耗している。特に足のふくらはぎや太もも、小指のあたりが痛くなってきた。どうも靴があっていないようだ。今回、舗装路を歩く距離がかなりあるので、ローカットのハイキングシューズを履いてきたのだが、靴の底がそんなに厚くないので、路面の反発力に足が負けているようだ。また、靴と足の相性も悪いようである。

摩耶山三角点
 桜茶屋から摩耶山の登りは長かった。何度も立ち止まり、呼吸を整えてまた歩き出す。足がケイレンして立ち止まることもあった。もう、摩耶山でリタイヤかなと思う気持ちが強くなる。
 掬星台の手前で 「摩耶山三角点(天狗岩大神裏・直進80m)」の道標があった。摩耶山は関西百名山なので三角点は踏まなくてはならない。足は痛いが、僅か80mの距離である。三角点の場所はすぐにわかった。三角点には誰も居ず、静かであった。

摩耶山を守ろう会の横断幕(掬星台の手前)

掬星台のチェックポイント
 午後2時50分、とうとう摩耶山掬星台に到着した。須磨浦公園から9時間30分もかかった。心配した赤鬼には追いつかれず、まだ1時間の余裕がある。しかし、この掬星台でまだ全行程の半分である。半券を係員に渡して、参加証にチェック印を押してもらう。足が痛くてケイレンするので、ここでリタイヤもやむなしと思っていたのが、休憩しているうちに元気が出てきたので、とりあえず次の六甲ガーデンテラスまで行くことにした。六甲ガーデンテラスは、縦走を断念するか続行するか、最後の決断場所である。ここで断念した場合は、バスに乗って帰れるが、ここを過ぎてしまうと公共交通機関はなくなるので、宝塚まで自力で下山するしかないのである。 

摩耶山を守ろう会によるホットレモンサービス
 掬星台では、摩耶山を守ろう会によるホットレモンサービスがある。ホットレモンはほんとうに美味しかった。
 自動販売機で飲み物を買おうと思ったが、500ccの飲み物は全て売り切れていた。その半分くらいのがまだ売れ残っていたので1本買う。
 あまりゆっくりしていられないので、10分居ただけですぐに出発する。

六甲山郵便局による甘酒サービス
 掬星台を出発すると、舗装路を歩くことが多くなり、今度は足の甲が痛くなってきた。靴下をはきかえたり、靴紐を緩めてみたりしながら歩くので一向にペースが上がらない。足のケイレンもひどくなってきた。六甲山郵便局では、甘酒サービスをやっていた。ほんとうにありがたい。疲れた体に温かい甘酒は体にしみわたるようだ。ストーブを焚いてくれていたので、ケイレンしている足を暖めるとかなり良くなった。
 郵便局を出発してゴルフ場の中を通り、六甲ガーデンテラスに着いたのが午後5時10分。あたりはかなり暗くなってきている。係員が二人いて、ここから宝塚まで17kmで、次のチェックポイントである東六甲分岐点までは3.5km、所要時間40分という。
 まだ17kmもあると聞いて、ほんとうにここでリタイヤした方がよいのかと思ったが、リタイヤしてあとで後悔するのもいやだしなあ〜とも思い、いろいろ考えた結果、宝塚ゴールを目指すことにした。

極楽茶屋跡付近からの夜景
 六甲ガーデンテラスを出発するとすぐに日が暮れて暗くなった。夜景が美しいが、ゆっくり見ている余裕などない。東六甲分岐点のチェックポイントを午後6時10分に通過して、このまま順調に行けば午後9時には宝塚にゴールできると思っていたが、水無山への登山道に入ったとたんに渋滞が発生した。この渋滞のために、最初の1kmを進むのに1時間かかってしまい、結局、宝塚にゴールしたのが午後10時になってしまった。
 東六甲分岐点から宝塚までの13kmはほんとうに長く感じた。アップダウンが多くて、全体的には下っているはずなのに、なぜか登りの坂が多かったような気がしてならない。行けども行けども行く手に真っ黒い山が立ちはだかり、いつになったら宝塚に着くのかと思いながら下山した。
 宝塚に着くと、先にゴールしたH氏とN氏が待っていてくれた。H氏とN氏は午後8時30分頃にゴールしたらしい。ほかの4人は、午後7時頃にゴールして、すでに帰ったとのこと。

宝塚ゴール
 宝塚ゴールで完走認定証と記念品をもらう。参加証も記念にもらう。
 疲れ果てて、完走の余韻に浸っている余裕などない。とにかくここから岸和田まで帰らなくてはならない。
 ゴールから200mのところにある阪急宝塚駅前交通広場噴水前では「ホッと宝塚 市民の会」が足湯や甘酒サービス、カメラのシャッター押しサービスをやっていた。
 甘酒などのサービスをいただく余裕はもうないので、完走記念にシャッターを押してもらったのが上の写真である。 

完走認定証と完走記念品の盾 左は盾が入っていた箱
 足が痛くて駅の階段を上り下りするのも大変で、自宅に帰ったのは午後12時前であった。疲れ果てて、食べ物もノドを通らず、風呂に入った後で爆睡する。

 (全縦を振り返って)
 56kmという距離は、ほんとうに長く、まさに自己へのチャレンジでした。
 足を痛めた原因は、慣れない靴を履いていってしまったことです。また、六甲全縦大会ということで気負いすぎ、平常心を見失い、準備を怠ったことです。やはり、下見を兼ねて事前に歩いておくべきだったし、装備のシミュレーションも必要でした。さらに、コースの概念を把握しておくことにより、力の配分や休憩ポイントなどがわかるので、もう少し余裕をもった行動をとれたのかなと思います。
 大会の運営でなによりも感心したのは、ボランティアのみなさんです。長時間にかけて、要所要所で縦走者を見守っていただき、また、温かい声をかけていただきほんとうに頭がさがります。ありがとうございました。 
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